ラーメン屋のおじいちゃん。

買い物しようと町まで出かけて、
お腹がすいたので前から気になっていたラーメン屋さんに行ったのです。

そこはいつも人が並んでいて、小さなおじいちゃんがやっているお店。
席数はカウンターのみ10席ほど、お客さんの比率は男女比8:2くらいでほぼサラリーマン。
昼時を過ぎた14時半に行ったのにまだ並んでいた。

私もチケットを買って並びながら、あることに気がついた。
食べ終わって席を立ち、無言で立ち去るお客さんの多いこと多いこと。

目の前で忙しなくラーメンを作るおじいちゃんは、立ち去るお客さんひとりひとりに
「ありがとうございました」と声をかけている。
待っていたお客さんにも「大変お待たせしました」とその都度声をかける。

席に着いてから出されたラーメンはスープが優しい味でとっても美味しくて、トッピングも絶妙で
常に人が並んでいるのも納得の味だった。
こんなに美味しいものを出してもらって、
「ごちそうさま」も言わずに去っていくってどうなの?
と、ラーメンを楽しみながらもちょっと憤っていた。

そのうちに「ごちそうさまです」と言って去っていくサラリーマンがちらほら出てきた。
一人が言い出すと、そのあとの人も「ごちそうさま」を言って去っていく。
気持ちがないのではなく、きっかけがあれば、ちゃんと言う人って多いんだろうな。
誰も言っていないのに自分だけが言う気恥ずかしさもあるんだろうと思う。

ラーメン屋のおじいちゃんはもう、
次々に来店するお客さんにラーメンをひとつひとつ作り、出していくことで手いっぱいのように見えたし
「ごちそうさま」の言葉なんて
いちいち求めていないかもしれないけれど。

私は大きな声で「ごちそうさまでした!」と言って席を立った。
ラーメンとっても美味しかったです、の気持ちを込めて。
「ありがとうございました」とおじいちゃんの声。お互いに気分が良い感じがした。

あいさつ、言葉を口に出すってとっても大事だなぁ。
いただきます、ごちそうさま、ただいま、おかえり、ありがとう、ごめんなさい。
短い言葉だけど、忘れてしまいがちだけど、
言葉にはたくさんの気持ちや意味を込められる。

「ごちそうさま」と言われて嬉しくない人はきっといないから
伝えて良いことはちゃんと言っていこうと思ったのでした。

 
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sak(さく)
イラストレーター/デザイナー
花と小鳥が好きな絵描きです
色鉛筆・水彩手描きイラスト制作を中心に活動中
心がほっとするイラストをお届けします
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